呑んでみました

商品名が全てを物語る通り、日本酒度+15と言う大変辛口な純米吟醸を寝かして古酒したのが『烈 '98年醸造』だ。じっくりと低温熟成したので色はうっすらと黄金色になる程度。紹興酒的な茶色い古酒に苦手意識が強い僕にとっては、なんとも嬉しい色味。味も初めは熟成の深い旨味が広がり、最後に苦味でキュっと締めくくる。そしてなんと言ってもチョコレートの香りが特徴的。良く酒の香りを「青リンゴのような」とか「熟れたバナナのような」と表現する事があるけれど、下戸の人には「単なる日本酒の香り」と感じてしまうケースが少なく無い。だけど『烈 '98年醸造』は「チョコレートリキュール」って言われても、誰でも信じてしまいそうな明確な香りが在ったのだ。実際に古酒の香りとしては「チョコレート」と表現されるタイプが結構あるのだけれど、少なくとも僕はこの酒以上に「チョコ」を感じた酒は無かった。新酒の『超辛口 烈』も大阪のダイニングバーで呑んだけれど、旨味を感じる前に辛くて仕方が無かった経験ありです。だけど『烈 '98年醸造』に関しては全然ピリピリする部分が無いんですね。熟成のすごさを実感した逸品です。但し、この類い稀な香りは全ての商品で味わえた訳では無く、モノによっては「チョコ香」が出るまで熟成が進んでいない瓶もあり、僕が最後に呑んだ『烈 '98年醸造』も、苦味と辛味に支配されただけの普通の酒だった。もしもあの「チョコ香」が狙って造られたものならば『烈』ラベルじゃ無くても良いから是非もう一度呑んでみたいです。