オフィシャルサイトから引用「本物の甘口酒

皆様もご存知の通り、日本酒は、元来「米・米麹・水」から成る醸造酒です。ですから、日本酒の味わいというのは「米」に由来するものであります。つまり、酒が甘みを持つとすれば、それは米が本来持っていたものでなくてはなりません。「うまい」という言葉の語源は「甘い」であったとも言われています。厳密には、「甘み」と「旨み」は区別されるべきでしょうが、「酒の甘み」は「米の持つ旨み」に他ならないのです。嘉美心酒造でも、「旨口」という表現を用いる事がありますが、ご飯を口に含んでじっくり噛んでいると甘くなる、あれこそが米の旨みなのです。いかに米の持つ旨みや香りを上手に引き出すか、これが酒造りの神髄です。全国各地の蔵元同様、嘉美心酒造でもこうした酒造りに情熱を傾けております。しかし、残念な事に、我が国には過去に、「食糧難」の時代がありました。酒を造るどころか、人々の飢えを満たすだけの米が不足していたのです。この時代、つまり第2次大戦の前後に、「三倍増醸法」が脚光を浴びました。これは、「醸造用アルコール・醸造用糖類を添加することで、同量の米から従来の米だけを使った酒造りの3倍もの量の酒が作れる」という技術です。確かに、モノ不足の時代には夢のような技術であったかもしれません。しかし、そういう時代が過ぎ去ってもこの技術は一人歩きし、簡単にしかも安く大量生産できる酒を、今なお造り続けているのです。こうした酒を、業界では一般に「三増酒」と呼んでいます。この「三増酒」が、「ベタベタ甘くて臭い」と考える日本酒嫌いをも大量生産しているとは言えないでしょうか?そして、「甘い=糖=醸造用糖類」と言う連想が、「甘口=安くて不味い酒」という認識を産んでいる側面もあるとは考えられないでしょうか。私たち嘉美心酒造では、こうした「三増酒」とは一線を画した「本物の甘口酒」を戦後の混乱期にあっても、時に世間の誹りを受けつつも、造り続けて参りました。その精神は現代でも変わることなく、酒蔵の中に脈々と受け継がれています。そして、「甘口」「辛口」といった区分によって生まれるイメージに左右されず、本当に「旨い酒」を造り、皆様に味わって頂くことが何より大切だと考えます。米の持つ本来の旨みを最大限に引き出す事こそが「本物の甘口酒」を醸す事であると信じて・・・
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