呑んでみました

こちらもリーデルのワイングラスを用意しました。温度は常温とまでは行かないものの、冷え過ぎでは無い状態です。純米規格ではありますが新酒らしく無色透明で、立香は『美山錦55』に比べてやや控えめで華やかさに欠けますが目立つ麹香も無く、非常に吟醸酒らしい佇まいです。そして一口呑んでみると、喉を流れる間、酸味、渋味がそれぞれ主張して行きますが、最後に甘味がポッと広がる感触。また、戻り香りに若干のアルコール感がありますので「酒を呑んだ!」って実感がありますね。その甘味も『美山錦55』とは性質が異なり、麦芽を噛んでいるようなホロ苦さを纏った甘味です。この部分を僕は雑味と感じてしまうみたいですね。ですから結果を言えば『八反錦50』の方が記憶に残りますが、『美山錦55』の方が好きです。『相模灘』と言うお酒の経験上、火入れして熟成させた時にも『美山錦55』の方が伸びそうな予感もあります。ただ、実際に複数の方から『八反錦50』の方が良いとの声も聞きますね。蔵元が設計していた通りに「米の差」が出たかは知る由もありません。ですが『相模灘 八反錦50』に含まれている要素は複雑ではあるものの、少なからず固定のファンを獲得するであろう「力強さ」も兼ね揃えています。むしろ後のブレンドを考えなければ、もっと個性的なフィニッシュでも良かった気がしますね。同じような酒を並べ、誰もが「アッチの方が良いな」と右へ習えする商品展開では意味がありません。好みが別れる酒が発売された事自体が価値のある事だと思います。神奈川と言うネームバリューの無い地域の、小さな蔵の販路では複数の純吟を商品化する事は多くの在庫を抱える危険と紙一重なのは理解できますが、それぞれを火入れして熟成を行い、今後の変化を見るべきお酒なんでしょうね。本醸造でも旨味の部分が評価される『相模灘』だけに、八反錦はこの蔵向きの酒米じゃ無いのかなぁ?来年は夢山水や愛山の『相模灘』も呑んでみたいなぁ。