呑んでみました

このお酒のウペック、山田錦の35%精米と言えば、全国新酒鑑評会の出品酒並のスペックです。実際は純米で出品される事は少なく『八十八号』が出品酒扱いになるのですが、お蔵としては大変気合いを注ぎ込んだお酒と思って間違いないです。黒龍の大吟クラスは綺麗で呑みやすいけれど、呑み応えに欠ける部分もありますが、『火いら寿』に関しては結構ピリッと感じる部分があります。これは生酒の発泡に起因するものでは無く、アルコール感が前面に出ているのですね。ブラインドテストしたらアル添大吟と感じる人も多いハズ。ですが、この尖った部分が高精白の大吟にありがちな薄さを消し、キレも良くしているのも事実。純米のコクが感じにくい点は評価が分かれるところだけど、普段日本酒を呑まない人を自宅に招き、一緒に呑むにはピッタリかもしれません。香りも豊かで大吟醸らしく、冷えた状態でグラスで呑めばリッチな気分になれる酒です。但し、この透明感のある酒質のせいか生ヒネ香の出やすいお酒らしく、僕のように2日くらいで呑み干してしまうのならともかく、氷温管理が可能な冷蔵庫をお持ちで無ければ、自家熟成して『しずく』にしようなどとは考えない方が良さそうですよ。入手の容易さを考えれば相当な量を出荷しているハズの『火いら寿』。これだけの量を安定した酒質で出荷してくれているのは、ある意味「黒龍」の良心だと考えます。