呑んでみました

今年の「全国新酒鑑評会」で入賞を果たした『相模灘』。前日でも『袋しぼり生々』を紹介しましたが、これはその火入れバージョンですね。『袋しぼり』はブルーのフロスト瓶だけど、こちらはクリア瓶。これはこれでナカナカに素敵です。実際に「全国新酒鑑評会」に出品されたのは『袋しぼり』の『火入れ』なので、どれも微妙に異なるスペックとなるワケですが、神奈川の小さな蔵故に、出品酒も火入れの大吟も、同じタンクで仕込まれた「同一モロミ」の酒。つまり斗瓶の違いこそあれ、出品酒がそのまま販売されてるみたいなものです。必死で捜しまわらないといけない有名蔵の出品酒と違って、特別な酒が手に入りやすいってのは良い事です。本当は『袋しぼり生々』を瓶火入れしてもらおうと画策していたんですが、四合瓶は既に完売。売れてんじゃん『相模灘』。ヤブタで搾った大吟なんで若干風味が異なるかもしれませんが『大吟醸 火入れ』を購入して来た次第です。でも袋搾りはともかく、槽搾りよりはヤブタの方が酸化しにくく、きちんと手入れされたヤブタならば安心して使えるのだとか。もちろん槽搾りには独自の良い所があるのですけどね。さて、お酒の感想としては、袋搾りの生々が少々「とっちらかった」味の印象を受けたのに対して、この火入れは非常にバランス良くまとまっている印象です。グラスから感じられる立ち香は少々控えめになったけど、フルーティな香り以外の余分な香りが消えています。また味も苦味と渋味が驚く程消え、見事なくらい滑らかな口当たりになっています。これが熟成期間によりものなのか、火入れによって落ち着いたのかは不明ですが、なる程これならば鑑評会入賞もありえるなと納得させられる味。今年は同蔵の純吟も火入れの方が旨く仕上がっていたし、無濾過生原酒が人気の流れに逆らっているのですが、そういう酒なんだから仕方ないですね。付け加えて言うと、15BYのお酒では最も量を呑んだお酒ですね。最初に呑んだ初夏から冬にかけ、常に美味しく呑めたのが15BYの最大の特徴かと。その前の14BYでは新酒が美味しさのピークで、季節が過ぎるごとに味がダレて行きました。14BYと15BYでは酵母が異なるとは言え、基本的な造りはそう変わらないハズ。本当に日本酒は奥が深すぎます。16BYでは麹の造りが若干異なるそうですが、果たしてどんなお酒になっているのでしょうか?